「エクセル予実管理の不便さについて」


私は一部上場している総合商社の経営企画部に勤務していました。そこでは経理の一環として、エクセルで収支管理をしていました。具体的には、各部門の売上目標と実績(予算と実績、略して予実)の管理です。総合商社ですから、商品の取扱部門は多岐に渡ります。家庭用品からアパレル、時計、服飾、収納品、果ては特販(スポット商品)、百円均一部門まで、十数部署はあったでしょうか。それらの予実を集計して会社全体の収支を出し、毎月の経営会議に資料として提出するのが、経営企画部の役割でした。

ちなみに、予算については毎月幹部会議で決定し、その数値を入力したエクセルファイルを各部署の担当者にメールで配布するのですが、実績についてはその部署の担当営業マンしか正確な数値は把握しておりませんので、入力も担当営業マン任せということになります。コンピュータ関連会社の社員ならいざ知らず、うちは普通の総合商社だったので、社員のパソコンの知識に大変バラつきがありました。その為、入力できないよう保護をかけている「予算」や「計算式」のセルの内容を改竄しようとして「入力できない!」と怒ってこちらに内線で怒鳴り込んでくる営業マンや、本人は「数値を入れただけ」と言うものの、なぜか文字のフォントが最初に送ったものとは違っているデータファイルが絶えませんでした。要は、うちの営業マンたちにはエクセルによる入力が難しすぎたのではないかと思います。

私は集計する側でしたが、送られてきたファイルを実質「転記」するしかなかったので、コピー先を間違えないように非常に神経を使いました。形式が同じファイルであれば、自動的に一方からもう一方へ「合算」というか「転記」してくれるような機能があれば便利なのに、と思っていました。

また最終的には、1つの部署のデータを1つのシートとし、各部署のデータを「全社」のシートで合計する、いわゆる「串刺し」計算をやっていましたが、これがまた大変でした。

というのも、うちは時代の流れに合わせて常に新しい部署を作ったり、売上の振るわない部署を統廃合したりしていたので、シート名が頻繁に変わってしまうのです。

最終的な損益等はマクロを組んで出していましたが、そのマクロでしょちゅうエラーが出て、途中で計算が止まってしまうので、毎月の経営会議の前には徹夜でマクロ修正をしたり、検算したりしていました。

もしかすると、もっと効率的で良いやり方があったのかもしれませんが、エクセルに精通していない私達には、それが精一杯だったように思います。

またそれ以上複雑にすると、各部署から「やり方が分からない」「もっと簡単にできないのか」などとクレームが来ると思うので、無理だったかもしれません。部長や社長などの管理職、経営者は集計した数字の意味を読み解くことはできても、集計方法というか、エクセルの操作方法についてはさっぱりだったので、実質この問題について一番よく分かっていたのは、部下である私達だったと思います。